2014年6月13日金曜日

【連載】プロジェクトコストの見積り 〜ボトムアップ見積もり編 - 3〜

<前記事からの続きです。


サマリー
つまるところ、ボトムアップ見積りはカレンダーの上で行う必要があるのです。いつからいつまで(From~To)、誰が、いくらで(単価)、どのくらい(ワークロード)プロジェクトに参加するのかを計算して、初めて現実的な数字が出てくるのです。PMの責任はリソースをアサインしている期間、彼・彼女達が最も効率よく稼働するよう適切に作業を組み立てることなのです。もちろん、従来の要素分解は必要です。適切に作業を組み立てるためにはどんな成果物を作り、どんな作業が必要で、どのように関連しあっているのかを理解しておく必要があります。

PMBOKでは、コスト見積りのインプットとして「スコープベースライン(WBS含む)」や「プロジェクトスケジュール」が定義されており、さらにプロジェクトスケジュール作成のために「資源カレンダー」や「アクティビティ所要時間見積り」等がインプットとして定義されているので、WBS、作業時間、リソースのカレンダーを使ってバランスよく見積りなさい、ということなのでしょう。


では、WBSは無用?
前述のとおり、適切に作業を組み立てるためにはどんな成果物を作り、どんな作業が必要で、どのように関連しあっているのかを理解しておく必要がありますので、WBSは依然有用、プロジェクトの進行に合わせて管理されるべきです。が、どの程度管理をすべきかはクライアントの要求レベルも考慮して決めると良いでしょう。通常、クライアントが欲しいのは完璧に要素分解され、各要素のコストが完全に管理されていることではなく、トータルとしてのQCDFが満たされているということなのではないでしょうか?

見積りツールについて
これらのことはMS Projectを使えば実現できますが、標準ビューのガントチャートだけではうまくいきません。それは、MS Projectは「タスクにリソース(人)を割り当てる」ことが基本となっていますが、カレンダーを基本とした見積りの場合は「リソース(人)にタスクを割り当てる」ことが基本となるからです。Task UsageやResource Usageのビューを使えばなんとかなりますが、MS Project 2010では正直もう一歩、という感じです。

結局私の場合、WBSと各作業にかかる時間の見積り(アクティビティ所要時間見積り)までMS Projectで行い、それを基に各リソースのカレンダー作成、コスト見積りからレポート作成までをExcelで行っています。いきおい、WBSは比較的ハイレベルのもので、あまり頻繁に更新する必要のないものとなります。詳細WBSは各リーダーや担当に任せ、カレンダーに定義された期間とワークロードで作業してもらうようにしています。このあたりのことは別記事で書きたいと思います。

もしEVMでの管理を行うならさらにいろいろ考慮すべきことがあります。例えば、どの粒度で作業報告をしてもらうか等です。この報告粒度より細かいレベルでのEVM管理はできませんが、その粒度が会社によって固定されていることがあります。これもまた別記事で書きたいと思います。


■連載
プロジェクトコストの見積り 〜ボトムアップ見積もり編 - 1〜
プロジェクトコストの見積り 〜ボトムアップ見積もり編 - 2〜
プロジェクトコストの見積り 〜ボトムアップ見積もり編 - 3〜 (当記事)

0 件のコメント: